
文・金山史佳 写真・向後一宏 text / KANAYAMA Fumika photos / KOHGO Kazuhiro
容姿端麗でスタイル抜群、一目見た時から忘れることができない。そんな、俗に言う一目惚れは人にもバイクにもまま起こる事態だ。
ビューエルというバイクは、おそらく一目惚れ系バイクの反対側にいると思う。私がこのバイクに出会ったのは一昨年の冬。取材用の車両で都内を走ったのがきっかけだった。
250㏄レーサー並みのショートホイールベースに1200㏄エンジンを搭載し、スケルトンのタンクを持つ外観はコンパクトながら印象に残るもので、前から気になってはいた。でも、それはハンサムガイへの憧れ、という類のものではない。
印象が一変したのは跨がってエンジンをかけた後のこと。最初は振動が気になったVツインOHVエンジンの鼓動は、交通量が少なくなった夜の道で3000回転以上回すと、まるで気持ちごと上に引っ張られるようなフィーリングに変わっていった。
その後、もっと走りたい!と思ったのは地面を噛むような接地感がなんとも心地よかったから。それから約1カ月、なんと私はこのバイクを購入していた。好みのルックスではなかったはずなのに。
そうそう、昔、クラスに一人はこんな子がいたはずだ。運動神経が良くて、面白くて、ひょうきんな男の子。初めは苦手でも、仲良くなってからが最高に楽しいタイプだ。
昨年から価格が大幅に改訂されて親しみ易くなったビューエル。騙されたと思ってまず乗ってみてほしい。

SPECIFICATIONS
TRANSMISSION:5-SPEED
LENGTH:1940mm /// WIDTH:755mm
HEIGHT:1050mm /// WEIGHT:182kg
WHEELBASE:1315mm
SEAT HEIGHT:726mm /// ENGINE:V2 OHV
DISPLACEMENT:1202cc
TIRES:F:120/70ZR17 R:180/55ZR17
PRICE:\1,232,500

印象的な2眼ヘッドライトはブラックのショートサスペンションに挟まれ、前衛的な雰囲気を醸し出している

09年モデルからブラックアウトされたエンジンはマスの中心化を引き立て、より引き締まった印象に

足回りには、ビューエルの特徴であるリムオンディスクに加え、新たに8ポッドキャリパーブレーキを採用

ボディカラーもビューエルの特徴の一つ。半透明色のレッドとブルー、精巧な印象のブラックを合わせ全3色を用意