文・藤野太一 Text/FUJINO Taichi
EDGE.net/本誌編集長・堀江史朗があなたのために最高の1台を選ぶ、EDGE Car Concierge。
第四回目のお客様には西埜公一郎さんをお迎えしました。

『ウォンテッド』『ボーン・アルティメイタム』『ワルキューレ』など数々のヒット作を手がける。現在、最新作の『ワイルド・スピードMAX』が公開中。 11月20日公開予定の『イングロリアス・バスターズ』(クエンティン・タランティーノ監督 ブラッド・ピット主演)では、「もし、面白くなければ返金します」という驚きのキャンペーンを展開している。『ワイルド・スピード』の新作を手がけていく中で、かつてのスーパーカーブームの頃の思いがむくむくとわいてきたという。現在の所有車はピニンファリーナのデザインで選んだという95年式プジョー306カブリオレ。

――いつもはクライアントのご希望に沿う車種をいくつか用意し、試乗をまじえて話を展開する本連載ですが、今回のゲストの西埜さん、欲しいクルマはロータス、しかもエキシージなんて相当にマニアック。希望車種もピンポイントでお決まりですし、あとは背中を最後のひとオシ、という座談会になるはずでしたが・・・。

Peugeot306 Cabriolet

LAMBORGHINI MIURA

FERRARI F355
- 堀江
- 現在のお持ちの306カブリオレを選ばれた理由が、ピニンファリーナデザインであること、とありますけど、またいきなりマニアックな回答ですねえ。もう少し表層的なところからはじめていただいても…(笑)
西埜さん(以下敬称略)
- いや、動機はかなり表層的なんです…エンブレムで選んだみたいなものですから。フェラーリと同じカロッツェリアだし、355には乗れないけど、これには乗れるというそんなレベル。
- 堀江
- でも、次のクルマに800万円くらいの予算がとれるのであれば、355だって十分に狙えます。だいぶこなれてきましたから。先日、女優の夏樹陽子さんを取材したんですけど、彼女355に乗っていて、撮影をかねて一緒に箱根に走りに行ったんです。これが速いんですよ。新車でMTの黄色い355をコーンズで買って、もう5万kmになるそうなんですけど、乗ってる姿が抜群にかっこいい。モデナ以降とは違う、変わらない価値みたいなものが355にはあるような気がします。
- 西埜
- フェラーリのベルリネッタっていう響きだけでもいいですよね。小学校のときはスーパーカーブームで、まさにスーパーカー世代ですから。その頃はずっとクルマのことばかり考えてましたね。ボクが一番欲しいのはミウラなんですけど、絶対買えないじゃないですか。
- 堀江
- たしかになかなか買えないですね(笑)
- 西埜
- ジャミロクワイのボーカル、JKが乗ってますけど、それぐらいじゃないと買えない(笑)
- 堀江
- こないだ綺麗にレストアされたミウラの隣に乗らせていただいたんですけど、抜群にキモチ良かったですね。
- 西埜
- うらやましい
- 堀江
- それ4500万円もするんです。アメリカでレストアしていると、なんでもかんでもビカビカに新しくしちゃうんですが、そのクルマはいい感じのヤレを残したままきれいに仕上げてあって。一緒に取材してた徳大寺(有恒)さんと「これは綺麗だね~」と思わず二人で見とれてました。
- 西埜
- さすがにそんなことまで分かるんですね。
- 堀江
- 徳大寺さんいわく「オリジナルはリアのテールランプのあたりにちょっとした凹みがあって、それが普通はレストアされると修正されてしまうんだけど、このクルマにはそれが残されている…」とか。正直ボクもどこのことを言っているのか全然わからない(笑)。