夢の彼方の最高峰――ランボルギーニ・ムルシエラゴ LP640
越川選手は、いわゆる“スーパーカー世代”でもなければ、“F1世代”でもない。にもかかわらず、車好きだった父親の影響で幼少の頃から車が大好きだったという。そんな越川選手は、ランボルギーニ・ムルシエラゴ LP640を目の当たりにして、子供のように目を輝かせた。
「やっぱり“スーパーカー”は憧れです!車の話に関しては、同世代よりも、年上の人のほうが話は合いますね。どうも年齢の割にマニアックらしいんですよ」
と、ムルシエラゴに乗り込んだ越川選手。「こんなアイポイントの低い車に乗ったのは、初めて!」と早くも興奮気味。乗り込む前には背の高さを気にしていたが、シート位置の低さも手伝って、身長190cmの越川選手でも意外にすんなりシートにおさまった。まずは助手席に乗り込み、その後少しだけ運転席で試乗を体験。
「助手席で感じるスピード感はすごかったですね。いつもと明らかにアイポイントが違うせいか、少し怖いくらいでした。でも、不思議なことに運転席だと怖くないんですよ。カーブでも路面をしっかり捕まえてくれるから、ものすごい安定感がありました」
シートから降りても、越川選手の興奮は止まらない。
「すごいなぁ」とつぶやきながら、自らのデジカメでの撮影大会もスタートした。インテリア・エクステリア問わず、フロントからリアまで片っ端から撮影しまくっている。
よほど喜んでいただいたのか、取材数日後にUPされた越川選手の日記にも「3000万円の動くマンション!」と興奮気味に紹介されていた。
今年の越川選手は不思議にイタリアと縁がある。実はシーズン前には、イタリア・セリエAを含む海外の数チームからオファーが届いたという。世界最終予選の初戦、イタリア戦では悪夢の逆転負け。そして今回の北京五輪直前に乗りこなしたイタリア車のランボルギーニ・ムルシエラゴ……。奇しくも五輪初戦の対戦相手もイタリアとなった。
「いまの日本バレーはバックアップ体制も含め、金メダルを取るべくして取りに行くというポジションではないのかもしれません。でも、出るからにはすべての試合を勝ちに行く。そうすれば、メダルへの道筋も見えてくるはず。まずは目の前の試合を死にものぐるいで勝ちに行きます」
夢の彼方に見える最高峰へ。
越川選手の世界との闘いはまだ始まったばかりだ。
1984年生まれ。2003年Vリーグのサントリーサンバーズに入団。2004年Vリーグ新人賞を獲得し、バレーボール全日本代表にも選出。06/07シーズンにはVリーグMVPも獲得。2008年の北京五輪では負傷リタイアとなったが、手術も無事成功。エースの戦列復帰が待たれる
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