構成・松浦達也 尾崎亮 Text/MATSUURA Tatsuya OZAKI Ryo

- 堀江
- しかしお話はいつも伺っていましたが、入りやすいお店ですね。フェラーリ専門店というとどうしても敷居が高いイメージがありますが、品のある知人のガレージにお邪魔しているかのような気やすさもあります。
- 榎本
- さっきも言ったようにうちには「給料は安いけど大好きなフェラーリに乗りたい」という、いわゆるセレブとは違うお客さまも多いですから(笑)。
- 吉岡
- そう言って頂くと気がラクになります(笑)。
- 堀江
- 個人的には、612スカリエッティも気になります。ジンベエザメみたいなすごい迫力があるじゃないですか。
- 榎本
- いいですよね。僕も憧れます。ただ612スカリエッティや599は値落ちが激しいから、僕も含めてうちのお客さんだとちょっと手が出ない人も多い。その点、355は数年乗っても値落ちが少ないから気兼ねなく乗れるという面もあるんです。
- 吉岡
- いまでは格好いいと感じられるようになったんですが、360モデナが出た当時は、「違う!」と思っちゃいました(笑)。といっても、ヒヨコが初めて見たものを親鳥と思ってしまう、まるで刷り込み効果のように僕にとっては308、328が最高なんですが。328ならもう少し価格がこなれているイメージもありますし、僕の好きだった308の形をそのまま受け継いでいる。あともうひとつ。328が発売された80年代後半というのは、ちょうど僕らが免許を取得した頃で、その当時の憧れを引きずっているという面もありますね。
- 榎本
- 308は業者に回ってくるのは、かなり厳しい状態のものが多いですね。
- 堀江
- となるとディーノあたりのもう一世代前の車はほとんどない?
- 榎本
- いや、そこが面白くてディーノあたりの2000万円くらいする高い車は、オーナーに余裕があるから200万円かけてエンジンを修理したりすることがある。お金持ちの人に復活させてもらえるチャンスがあるんです。ところが308あたりだと、そうした機会になかなか恵まれない。
- 吉岡
- 328は……?
- 榎本
- いい状態のものは結構出ていますよ。売約済みですが、まだ納車前でお預かりしているGTB/GTSがそこにあります。色はやはり……。


- 吉岡
- 赤が欲しいです!
- 堀江
- そこに赤の328GTBがありますね。
- 吉岡
- 危ない。売約済みじゃなかったら、うっかり注文しかねません(笑)。
- 榎本
- なるほど、それはありがとうございます(笑)。でも355もいい車ですよ。
- 堀江
- 夏樹陽子さんも乗っていましたが、カッコ良くてセクシーでいい車ですよね。
- 吉岡
- 355はほとんど4ケタという印象があるからどうにもハードルが高いんです。
- 榎本
- そこまで行かずに、いい状態のものも出てきますよ。ほら、そこの売約済みのものも(笑)。
- 吉岡
- やめてください!(笑)。確かに、2年乗っても数十万円の値落ちで済むかもしれないとか考え出したら、本当に手を出しかねません(笑)。
――残年ながら吉岡さんの目標でもある、赤の328GTBは今回は売約済み。いい輸入中古車に巡り会うには、あわてずじっくり時が来るのを待つ辛抱強さも必要なようです。