構成・松浦達也 尾崎亮 Text/MATSUURA Tatsuya OZAKI Ryo

- 榎本
- どのくらい走られました?
- 吉岡
- 確か約4万kmからスタートして2年半で3000kmくらいでしょうか。結婚したときに手放してしまいましたが、生まれ故郷の金沢と東京の間を2度ほど往復しました。すごく幸せな至福の2年半でした。
- 堀江
- やはり結婚するとフェラーリには乗りづらい?
- 吉岡
- さすがに家族を乗せる車じゃないですから。今はフェアレディZ(32型)に乗っています。
- 堀江
- フェアレディZだって、家族を乗せる車というよりはスポーツタイプの車じゃないですか(笑)。
- 吉岡
- 実はこれも妻にはずいぶんと叱られたんです。「ミニバンを買いに行く」と言って出かけて買ってきたのがフェアレティZですから。でも妻が運転するときのことを考えて、AT車にしたんです(笑)。自分のなかでは、フェラーリ以外は横一線のはずだったんですが、いざミニバンを買うとなるとやはり抵抗感が……。でもやはりこうしてずらりと並んでいる姿を見ると痛感しますね。フェラーリは別格です。

- 榎本
- そのなかでも一番となると、実際に乗っていらしたテスタロッサですか?
- 吉岡
- 一番好きなのは328ですね。僕にとってのフェラーリというのは、エンツォ・フェラーリが生きていた頃のモデルなんです。
- 堀江
- 好みがずいぶん古くないですか?(笑)。
- 吉岡
- 本当か噂かはわからないんですが、エンツォが亡くなる間際に328を見て、「これぞスポーツカーの形である」と言ったという伝説を聞いたことがあるんです。そういう話を聞くと、どうしてもその頃のフェラーリがほしくなってしまうんです。テスタロッサも好きでしたけど。
- 榎本
- 正直に申しあげると、テスタロッサはあまり売りたくないフェラーリのひとつなんです。耐久年数を考えても、もうあちこちに不具合が出やすくなっているし、壊れたときのダメージも大きい。無理して購入して150万円はかかるような故障で、泣く泣く手放すというケースもよく見聞きしますから。ただなかには、四畳半に住んでいて万が一のときには直せなくても構わないから乗りたいというお客様もいらっしゃる(笑)。フェラーリに何を求めるか、どういう付き合い方をしたいお客様かによって、当然おすすめする車種は変わってきます。いい状態の328は理想と言えば理想なんですが、いい車が少なくなって、価格が少し上がってきていますから、あとはお客さま次第ですね。
- 堀江
- サイフの問題もありますが、むしろ覚悟の問題なのかもしれませんね(笑)。