構成・松浦達也 Text/MATSUURA Tatsuya
写真・初沢亜利 Photos/HATSUZAWA Ari
ヴァイオリニストの高嶋ちさ子さんを迎えて、スタートした堀江史朗のEDGE Car Concierge。
誰にとっても車選びは悩ましいものですが、高嶋さんのリクエストはなかなかに手強い。堀江は、こんな提案で応えてみました。

- 堀江
- それでは、カイエンを他の車に乗り換える。仮にそんなパターンから考えてみましょうか。まず、高嶋さんがお好きだというメルセデスから、ML63AMGとC63AMGステーションワゴンに試乗していただきましょう。

- 高嶋
- AMGって、ちょっとやんちゃな男の人が乗るイメージがありますよね。
- 堀江
- あ、今のAMGは特殊なチューニングカーではなく、メルセデスの最上級グレードという位置づけになっているんです。最新モデルは、スタイリッシュで上品なものになっていますが、ずっと車が好きだった人には男性的なイメージが残っているかもしれませんね。
- 高嶋
- これ、視界が広いですねぇ。なんだか、世界征服できそうな感じ(笑)。乗り心地もドライビングフィールも素晴らしい。あ、後ろにチャイルドシートを2つ乗せて、真ん中に大人は座れますか?小柄な女性のベビーシッターさんなんですが。
- 堀江
- 小柄な女性であれば大丈夫でしょう。カイエンもそうですが、背の高い車は見切りが良くて走りやすいんですよね。では次に、C63AMGステーションワゴンに試乗してみましょう。
- 高嶋
- うわっ!この車、大好き!アクセルやブレーキのフィーリングといい、ステアリングの重さといい、すごく肌になじむ感じがします。私とすごく相性がいいんじゃないかな。運転もしやすいし、音もいいですねぇ。
- 堀江
- さすがに、目のつけどころが普通の女性とは違いますね(笑)。
- 高嶋
- スーパーカー世代ですから(笑)。小さな頃、幹線道路沿いに住んでいて、よく兄と「今通った車の音は、ランボルギーニかそれともフェラーリか」というようなクイズをしていたので車の音には敏感なんです。あ、気づけば、ドライバー目線でしか車のことを考えてないですね(笑)。
- 堀江
- あまり高嶋さんの好みに寄りすぎると、今回のリクエストに応えるのは難しいかもしれませんね。じゃあ、次に行きましょう。
- 高嶋
- でもこれ、いいですね……。

- 高嶋
- 実は私、シトロエンって初めて乗るんです。
- 堀江
- スポーティな車はお好きでよく乗られるんですよね? なら、この車はある意味、面白いかもしれない。
- 高嶋
- あれ? このサスペンション……。
- 堀江
- 面白いでしょう?
- 高嶋
- なんだか船に乗っているみたい(笑)。でも、新生児にはいいかも。起きなさそう。
- 堀江
- やっぱり高嶋さんでも、新生児を乗せているとドライビングは変わるものなんですか?
- 高嶋
- そりゃあ、変わりますよ~。やっと寝てくれたんだから、起こさないようにそーっと走ってます。でも、こういうセダンタイプもいいですね。カイエンのようなSUVだと、まず車に乗せるところからして大変ですから。しかも後部座席も広いですねぇ。
- 高嶋
- 車高が高く見えるわりに意外と乗り込みやすいですね。しかも作りがしっかりしてる。
- 堀江
- ボディサイズは大きいんですよね。幅が1985mmありますから。
- 高嶋
- でも、乗ってみるとあまり大きさを感じませんね。取り回しも悪くない。そういえば、X6って最近結構街中で見かけるような気がします。うーん。この大きさの車となると、家族や親も乗せることを考えると、もう少し室内の広さがほしいかな。もっと家族が少人数だったら、候補に入ってくるかもしれませんけど。
- 堀江
- ボディサイズの大きさは室内スペースのためではなく、エクステリアやインテリアのデザインを実現するために使われています。この時代にとても贅沢な車ですよね。

- 堀江
- さて、いよいよ機能面では本命のフリード登場です。この車とアルファ147は、他の車と組み合わせての増車候補となるんですよね?
- 高嶋
- はい。パズルをしてみたところ、この車なら増車でもなんとか駐車場に入れられそうなんです。それにしてもフリードは運転しやすいですねぇ。内装はかなりシンプルな印象ですけど。
- 堀江
- 余計なところにお金をかけないのが、ホンダのいいところなんです。
- 高嶋
- コンセプトとしては、一番ハマりますよね。2列目の左右にチャイルドシートが配置されていて、前席から後席にウォークスルーで移動もできる。なんだか、ママになった感じがします(笑)。でもパワーや質感は、他の車と比べ……ない方がいいですよね?
- 堀江
- そもそもの価格帯もターゲットも違いますからねぇ(苦笑)。
- 高嶋
- アウディって、選択肢に入れていなかったんですよね。一応、カタログは見たんですが、なんとなく軟派なイメージが苦手で……。
- 堀江
- まぁ乗ってみてください。アウディは数年前に、コンセプトを硬派な方向に転換したんです。とりわけ「S」シリーズは、かなり硬派に仕上がっていますよ。
- 高嶋
- そうなんですか? ……。あ、ウソ!? なんだか昔のイメージと全然違うんですけど。うわぁ……。ちょっとこの子! 音もいいし、操作感もいいじゃないですか! 地面に吸いつくように走りますね。マズイ……。選択肢が広がってしまう……。