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プジョー306には、クルマ好きが喜ぶような飛び抜けたメカニズムは搭載されていない。ほとんどすべてが“FF2ボックスの定石”といった手法で作られている。しかし、細かく見ると「うまいなぁ」と感心する設計がなされている。
フロントサスペンションは、オーソドックスなストラット式だが、スタビライザーのリンクにボールジョイントを用いている。大衆車の場合、安価なゴムブッシュが使用されることが多いが、スタビライザーの応答性が悪く、初期ロールの抑えが甘くなったり、直進性が悪化したりすることがある。コストより性能を取った結果である。
またリアサスペンション回りの設計も巧みだ。トレーリングリンク式の基本構造にトーションバースプリングを組み合わせ、ダンパーを寝かせてレイアウトしているため、サスペンション部が荷室にまったく張り出さない。これによりラゲージは広く、使い勝手もとてもよいのだ。 |
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←スポーツエンジンも用意。S16には150ps仕様(後期は163ps)の2L直4DOHCエンジンを搭載している |
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306のエクステリアは、イタリアのカロッツェリアでデザインされたが、イタリア的な情感にあふれるのではなく、フランス的上品さをたたえているのは、まさにデザインの妙である。
デザイン上の最大の特徴は、傾斜した太いCピラー。傾斜角によって、どこから見ても末広がりの安定感をもたせ、太さによってどっしりとした重量感と剛性感を感じさせながら、野暮ったさが微塵もないのはさすが。
インテリアはチープ&シック。質感はプラスチック然としている。しかし無理して高そうに見せるデザインにしていないため、逆に安っぽくは見えない。
またオーディオや空調などの、操作頻度の高いスイッチが高い位置にまとめられている。おかげで走行中に操作する際にも視線移動が少なくて済む。
ラゲージはフルサイズのスーツケースが入るほど大きいが、小物入やカップホルダーなどは国産車ほど充実していない。 |
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↑インテリアにはこれといって「特別」な機構や装備はない。しかし実用性にはとにかくこだわった |
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↑ハッチバックが306では人気の中心。リアシートはもちろん左右分割可倒式で使い勝手も良い |
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